カメラ片手に・・・写真などいろいろなこと

趣味で撮った写真や、読んだ本の要約などをご紹介します

ラブホテル裏物語 15

「ラブホテル裏物語」大月京子著 バジリコ 2008年より

<おしゃべりなお客さんたち>

「何の仕事してる人なんだろう?ってみんな思ってたの。それがたまたま知り合い関係のお葬式に行ったら神妙な顔で木魚叩いてるんだから、笑いこらえるのに必死だったわよ(笑)」
と話してくれたのは、2つめに勤めたラブホテルで一緒だった友子さん。古くから地方の某所で受けつけと案内、いまでいうフロント業務をしていたという人でした。話を聞いていると、やはり昔のほうが何かとお客さんとのやり取りが濃かったようです。

「まあ旅館、ラブホテルによっても違うと思うけど。そんなに大きくない街だから常連も多かったし、人なつっこいお客も多かった。顔見知りになっちゃった人もいるし。お客も当然みんな秘密のつもりで来るわけだけど、「どこそこの誰々がまた来た」なんて噂されてたりね(笑)。周りに勤めてること知られたくない人なら、向かない職場だったんじゃないかな」

そんな彼女が聞かせてくれた記憶に残るお客さんの1人が、冒頭の人。
「人あたりがよくて、けっこういい常連さんだったの。色んな女性を連れてきて、羽振りもよさそうだった。でもネクタイしてるところは見たことなくて、髪型も坊主だったりスポーツ刈りだったり、どう見ても普通の勤め人じゃない。かといってヤクザにしては妙におっとりしたところもあって・・・。いったい何してる人なんだろう?って言い合ってたわけ」
と思ってた相手が実はお坊さんだった、という話。でもなぜか憎めないのは仏様のご威光かなあ、なんて友子さんは笑っていました。

もう少し友子さんの話を続けてみます。
「あと仕事用の車で来る常連さんが多くて、時々話の種になってたわ。入ってくるお客が『あれ、お風呂壊れてんの?』なんて聞いてくる時はたいてい、ガス工事の常連さん。OOガス工事っていう会社名が入った工事用のバンで、女の人と一緒に来るの。その車をお客用の駐車場に停めるから、後から入ってくるお客が誤解するわけ。社長がこれを耳にして『客が帰ったらどうする。太い野郎だ』ってこぼしてたわ(笑)。ホテルはボイラーで沸かすから、ガスはあまり関係ないんだけどねえ」

「配達用のトラックで来る酒屋さんも何度か見たなあ。店の名前から電話番号まで書いたトラックで、堂々と入ってくるの。駐車場はのれんで外から見えなくなってるから、いったん入っちゃえば大丈夫って思うみたい。でも電話番号は隣町だったから、あれでも一応地元は避けてたのかもね」

「ほかにはこんな人たちもいた。初老にさしかかったような年齢で身なりもちゃんとしたおじさんとおばさんでね、見た目はラブホテルに来るような人たちに見えないの。でもそれが妙に慣れてるというかリラックスしてるというか、フロントで世間話なんかしてるのよ。しまいにホテルの名前が入った記念になるものないかって言い出して」
「何だろうと思ったら、定年退職してから2人で色んな地方のラブホテルを泊まり歩いてるんだって。話によるとどうも、どっかの市役所勤めだったみたいね。それで悠悠自適の老後を、何を思ったかラブホ巡りで楽しんでたわけ。夫婦の客もお年寄りの客も別に珍しくなかったけど、老後の趣味でラブホとはね・・・。何か発想が違うなあと思ったわ(笑)」

色んなことをあれこれ語りたがる話好きのお客さんというのは、ほかにも時たまいたそうです。友子さんが特におかしかったというのが、こんな人。
「『いや~、今日は車が混んじゃってさぁ』とか、毎回よく喋る常連がいたのよ。30代後半くらいのサラリーマン風。『お姉さん、今日は化粧のノリが違うねえ、デート?』とか言っちゃってさ(笑)。連れてくる女の子は職場の同僚みたいな雰囲気だったかな。とにかく愛想がいいから、従業員にも好かれてたの。『今日は早いですね』なんて声かけたりして」

「それがある日いつもと違う女の人連れてきた時だけ、人が変わったみたいによそよそしいのよ。『階段はどちらですか』『料金はおいくらになりますか』なんて、初めてきたみたいな芝居までして(笑)。もうおかしくって吹き出しそうだったけど、みんな一所懸命話合わせてあげたわ。だって、切羽つまったみたいな真剣な顔してたからね」
相手の女性が何者だったかは謎。従業員の間では奥さんというのがもっぱらの噂でしたが、独身という説も捨てきれなかったようです。

「もちろんあくまで客と従業員だから、本人にそこまで聞くわけにもいかなかったし。その後もまた、何食わぬ顔していつもの女の子と来たりしてた。でもしばらくしたら、ぱったり来なくなっちゃったわ。何か事情があったんだろうけど、まあ常連さんが来なくなるのはいつも突然だからねえ」

昔の人のほうがやることが奇想天外だった、という人もいました。関西に長くいたという公江さんがそうです。これは、彼女が受けつけで案内係をしていた時の話。
「週末の夜に来た若い2人連れなんだけどね、男のほうが金はないけど明日必ず持ってくるなんて言うのよ。だから入れてくれって。もちろんそんなこと、できるわけないじゃない。でもどれだけ言っても、必死な顔して食い下がるの。もうしょうがないから男の従業員にも来てもらって、無理やり追い返したわけ」
「ホッとしてまた仕事に戻ったんだけどね、今度は駐車場係のおじさんが受けつけにやって来て言うの。隣の空き地で何かやってるって。それで行ってみたら10人近い人だかりができてて、興奮した調子で騒いでるじゃない。何やってたと思う? 追い出した2人組が、空き地の隅っこでおっ始めてたのよ(笑)」

公江さんたちが途方に暮れているうちに野次馬が多くなり、当人たちはすごすごと服を持って消えていったそうです。若い2人の切実にやりたいという気持ちは何となく伝わってきますが、ホテルにとっては迷惑この上ない話なのはいうまでもありません。




老後に夫婦でラブホ巡りとはおもしろいですね。ちゃんとデータや写真を残せば本が出せるのではないでしょうか。

つづく・・・予定です。

テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

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phm202

Author:phm202
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40代半ば 男性 神奈川県在住 プロラボ勤務経験あり 主にデュープと複写作業をしていました フォトマスター検定1級 写真専門士

好きなこと・・・写真撮影(鉄道写真など) 読書(自己啓発、成功法則、ビジネス系など)

累計納税額日本一の事業家 斎藤一人さんの考え方、生き方に影響を受けています。

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